COLUMN
事務所ビルをホテルに転用するとき、
最初に確認する5つのこと
オフィス需要が落ちたビルを、ホテルとして立て直せないか。よくいただくご相談です。実際に手がけてきた立場から、最初に確認している点を書きます。
「このビル、ホテルにできませんか」。そう聞かれたとき、私たちがまず見るのは間取りでも内装でもありません。順番を間違えると、設計をやり直すことになります。
1. 用途変更の確認申請が必要かどうか
事務所をホテルにするのは、建築基準法でいう「用途変更」にあたります。ホテルは特殊建築物に分類されるため、一定規模を超えると確認申請が必要です。現行では、その用途に使う部分の床面積が200㎡を超える場合が対象とされています。
1フロアだけを転用する場合は面積次第で対象外になることもありますが、一棟まるごとであればまず必要になると考えておいたほうが現実的です。申請が必要な場合、既存の建物が現行法に適合しているかの確認からはじまります。ここで既存不適格の部分が見つかると、想定外の工事が発生します。
2. 消防設備が、事務所のままでは足りない
意外と見落とされやすいのがここです。消防法上、ホテル・旅館は事務所よりも厳しい区分に入ります。自動火災報知設備、誘導灯、非常用照明などが、事務所仕様のままでは基準を満たさないことがほとんどです。
規模や階数によってはスプリンクラーの設置も求められます。配管を通すとなると天井を大きく触ることになるため、内装の計画より先に確認しておくべき項目です。
3. 旅館業の許可が取れる構造か
営業するには旅館業法の許可が要ります。近年の法改正で客室数の下限などは緩和されましたが、玄関帳場(フロント)に相当する設備、換気・採光・照明、入浴・洗面設備といった構造設備の基準は残っています。
とくに水まわりは、既存の配管位置に引きずられます。各階のどこに縦管が通っているかで、客室の割り方が決まってしまうことも珍しくありません。

4. 1フロアから、何室とれるか
ここがそのまま収益に直結します。フロアの形、窓の位置、縦管の位置、廊下の取り方。この4つで室数はほぼ決まります。
無理に部屋数を増やすと1室あたりが狭くなり、単価が落ちます。詰め込めばいいというものでもありません。
5. 費用と工期を、収支と並べて見る
改修費だけを見ても判断はできません。「いくらかけて、いくらで貸せるか」を並べてはじめて、やるかどうかが決まります。
私たちがご相談をお受けするときは、改修後の姿と概算費用に加えて、想定できる範囲での賃料や稼働の見通しまで一緒にお出しするようにしています。判断材料が揃わないまま工事の話だけ進んでも、オーナー様にとって意味がないからです。
まとめ
ホテル転用は、内装を新しくする工事ではありません。法規と設備の条件を満たしたうえで、その建物から何室とれるかを設計する仕事です。順番としては、確認申請・消防・旅館業の3点をクリアできるかを先に見て、そのあとで間取りと費用に進みます。
納新は設計から施工まで自社で行っているため、この確認と設計を分けずに進められます。実際の改修事例もあわせてご覧ください。
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